いろいろな試算を少し本格的にやってみる。

気の向くまま、いろいろな試算をします。(ゆる~くではなくなってきたのでタイトルを変えました) 基本的にスポーツは何でも見ます。競技によっては人並み以上に知識もあります。 少しでも需要があればいいかなと思いますので、批判も含めたご意見・ご感想をお待ちしています。

全豪振り返り+エントリーランキング(2017/1/30)+3月MSまでの試算

こんばんは、ch191です。

今回は全豪オープンの振り返り(主にQF以降、データを交えて)と、1/30付のエントリーランキングについて。

ではまず、全豪オープンを振り返りましょう。

4Rまでにマレー・ジョコビッチが敗れるという波乱の大会の主役になったのは、30代のベテラン選手たちでした。

唯一30代同士のQFとなったワウリンカvsツォンガは、少ないブレークチャンスを全てモノにする(3/3、ツォンガは1/6)勝負強さが光ったワウリンカがストレート勝ちでSF進出を果たしました。

対抗シードのチリッチが敗れているとはいえ、しっかりとシードキープしてくるあたりはさすがでした。

最年長の35歳フェデラーは、QFでM.ズベレフにわずか1時間32分で完勝。

華麗なパッシングショットを次々に決め、4Rマレー戦では55%あったズベレフのネットプレーのPTWを40%に抑えました。

ウィナーもズベレフの30本に対し、倍以上となる65本と圧倒。

ミスも少なく、3Rからの好調さを維持している印象でした。

ナダルブリスベンで敗れたラオニッチにストレートで勝ってSFへ。

サービスゲームの安定感が光り、1stサーブでのPTWはラオニッチの68%を大きく上回る83%。

さらに、4度のブレークピンチもすべてセーブするなど、勝負強さも見せました。

強いナダルが戻ってきたことを印象付けるには十分すぎる快勝でした。

好調を維持しているディミトロフはゴフィンにストレートで快勝し、SFにコマを進めました、

ストロークの安定感が際立っており、UEはゴフィン46に対してわずか25。

リターンゲームでのPTWは驚異の48%で、6度のブレークに成功しました。

ジョコビッチがいなくなった山だったとはいえ、プレーを見る限り残るべくして残ってきたという印象でした。

SFは2試合とも死闘となりました。

まずスイス勢同士となったフェデラーvsワウリンカ。

第1・第2セットはフェデラーの積極的なネットプレーが光り、2セットを連取します。

特に第2セットでは5回のサービスゲームでわずか6ポイントしか与えない完ぺきな内容でした。

ところが、第2セット終了後にMTOを取ったワウリンカが反撃に転じます。

レシーブで早い仕掛けを見せたことが功を奏し、リターンゲームでのPTWを大幅に上げることに成功。

2ブレークずつを挙げた第3・4セットを取り、勝負は最終セットへ。

第4セット後、MTOを取ったフェデラーは、第3・第5ゲームでそれぞれブレークのピンチを迎えますが、取られたセットでは影を潜めていたネットプレーなども交えながらいずれもしのいで、サービスキープに成功します

そしてピンチをしのいだ直後の第6ゲーム、ワウリンカにミスが重なり逆にブレークポイントを握ります。

ここでワウリンカが痛恨のダブルフォルト

そのリードを守り切ったフェデラーが7年ぶりとなる決勝進出を果たしました。

錦織に勝った時から何となく決勝に行くんじゃないかと思っていましたが、本当に実現させました。

敗れたワウリンカも、まさに「スタン・ザ・マン」という戦いぶりで、今年も活躍を予感させてくれました。

そしてもう1試合のナダルvsディミトロフ。

第1セットはナダルが最初のサービスゲームで2度ブレークのピンチを迎えましたが、高い1stの確率(71%)を武器にこれをしのぎます。

その後は1stサーブPTWが90%と安定したサービスゲームを見せ、第4ゲームの1ブレークを守り切って第1セットを先取します。

しかし第2セットに入るとお互いにリターンでポイントを重ねる場面が増え、ブレーク合戦となります。

5-3で迎えたディミトロフのSFSでもナダルがブレークし、縺れた展開に。

2ブレークずつで迎えた第12ゲーム、ディミトロフは第2セット好調だったネットプレー(12/14)でセットポイントをつかみ、これをものにしてセットオールに持ち込みます。

第3セットは第5ゲームで先にナダルがブレークに成功しますが、直後の第6ゲームでディミトロフが3度ブレークポイントをしのがれた後、4度目でものにしてすぐさまブレークバック。

その後はサービスゲームが続き、タイブレークへ。

お互いに2本連続でのサービスキープができないという激しい展開で、3ミニブレークずつの6-5となり、ナダルがセットポイントを迎えます。

ここで自サーブだったディミトロフがUEで4つ目のミニブレークを許してしまい、ナダルが決勝へ王手をかけます。

第4セットは互いにサービスゲームが安定し、ブレークポイントすら与えない展開でまたもタイブレークに。

タイブレークではディミトロフが2ミニブレークして6-3とセットポイントを握り、2本の自サーブ。

1本目はナダルに決められましたが、2本目でこのセット好調だったサービス(1st確率75%、1stPTW80%)でポイントを取り、フルセットに持ち込みます。

最終セット、第1ゲームでいきなりナダルが3度のブレークチャンスをつかみますが、ディミトロフがしのぎます。

直後の第2ゲームではディミトロフが1度ブレークチャンスをつかみますが、今度はナダルがしのぎます。

第5ゲームでナダルが再びブレークチャンスをつかみますが、またもディミトロフがしのぐ。

取られると即ディミトロフのSFMとなる第8ゲームでは、2度のブレークピンチを、またもナダルが2本のウィナーでしのぎます。

そして直後の第9ゲーム。

30-40とブレークチャンスをつかんだナダルが、バックハンドを振り抜きブレイク!

この日一番の雄たけびを上げます。

迎えたSFM

ディミトロフも粘って2度のマッチポイントをしのぎますが、最後はバックハンドが長くなり、ナダルが5時間近くに及ぶ激闘を制しました。

その瞬間、ナダルはその場で大の字に。

以下に厳しい戦いだったかを象徴するようなシーンでした。

ナダルにとっては3年ぶりの決勝です。

ディミトロフも自身初のGS決勝進出はならなかったものの、ケガさえなければ間違いなくTop10に復帰し、キャリアハイの8位を更新できることを示しました。

最近ではRDNの中でやや取り残された感のあったディミトロフですが、今年は3人でBIG4に立ち向かっていく年になりそうです。

そして決勝。

GS決勝では2011全仏以来6年ぶりのフェデラーvsナダルが実現しました。

ただ、私の文章力では筆舌に尽くしがたい戦いでしたので、データの部分だけで見てみます。

全体的に見ると、やはりフェデラーが攻めていたことが分かります。

ウィナーはナダル35に対して倍以上となる73。

その代わりUEもナダル28に対して倍以上の57でした。

第4セットまでは、セットを取った方がウィナー>UE、取られた方がウィナー<UEとなっていました。(最終セットはともにウィナー>UE)

また、ブレークポイントのセーブ率がフェデラー76%(13/17)、ナダル70%(14/20)とかなり高く、互いに勝負所でポイントを取れていたことが分かります。

セットごとに見ると、特筆すべきなのはやはり最終セット。

1st確率はナダル85%(!)に対してフェデラー52%でしたが、1stPTWはフェデラー80%に対してナダルは50%にとどまりました。

結果、フェデラーのリターンゲームでのPTWは50%と非常に高かったのですが、なかなかブレークできなかったのは、ナダルブレークポイントを実に9回もしのいだからです。

特に第8ゲーム、落とすと次ゲームがフェデラーSFCとなる場面で、0-40となってから3本連続でしのいだところは驚異的でした。

さらに、フェデラーSFCとなった第9ゲームでは15-40とナダルがブレークバックのチャンスを迎えますが、今度はフェデラーがしのいで、2度目のマッチポイントを取って優勝を果たしました。

分かっていたことですが、改めて感じさせられたのは、BIG4全員が「メンタルモンスター」であること。

これから錦織が最も身に着けていかなければならないのは、やはり「勝者のメンタリティー」を持つことでしょう。

その意味でも、今年中にMSの優勝が欲しいですね。

これまで勝てていなかったガスケ、デルポトロにも勝ち、トップ選手で勝っていない相手はいなくなりました。

以前本人も言っていたように、文字通り「勝てない相手はいない」状況になったのです。

「勝者のメンタリティー」を持つチャンコーチからそれをどこまで吸収できるのか。

全仏に向けての戦いに注目していきたいと思います。

では次に、1/30付のエントリーランキング表です。

上から見ていきます。

マレーはジョコビッチとの差を広げる大きなチャンスでしたが、失効分と合わせて935pt差を広げることにとどまりました。

2Rでの転倒の影響もあったかもしれませんが、ジョコビッチが先に敗退していただけに、不本意終戦となってしまいました。

ジョコビッチとの差は1715ptとなったので、1位の座はしばらくキープできそうですが、昨年後半のような鬼のような強さを発揮できるかどうかはまだ不透明。

ドバイから再始動を図ります。

ジョコビッチは誰も予期していなかった2R敗退。

1955ptを失い、ポイントは10000ptを割り込んでしまいました。

これはなんと2011/05/02以来で、299週続いた10000pt以上が途切れたことになります。

昨シーズン前半からは考えられなかったことですが、高いモチベーションを保つことの難しさを感じさせられます。

今週末のデビスカップには出場するようですが、その後はインディアンウェルズMSまで大会に出ません。

失効ポイントが多いので、全豪のようなことが続くと下位との差がどんどん詰まってしまう可能性もあります。

3月のMSは真価が問われる戦いとなりそうです。

ワウリンカはシードキープして720ptを獲得。

再び3位に浮上し、4位ラオニッチとは765ptの差をつけました。

これで3月MSまでに5位以下に落ちる可能性は極めて低くなりました。

ただ、インディアンウェルズはQF、マイアミは4Rが最高成績と得意とは言えないので、得意とするクレーシーズンまで4位以内をキープできるかどうかがポイントになりそうです。

ラオニッチは昨年のSFまでたどり着けず、360ptを失って4位に後退しました。

ジョコビッチ不在のボトムハーフでは有力候補でしたが、ブリスベンでは勝っていたナダルに屈しました。

3月MSでは2大会で780ptという大きな失効が控えており、あまり得意とは言えないクレーシーズンで4位以内をキープできるかどうかはここからのハードの大会でいかに稼げるかどうかにかかってきそうです。

錦織はラオニッチと100pt差の5位。

4R敗退だったとはいえ、そこまで4位との差があるわけではないので、3月MSを第4シードで迎えられる可能性はあります。(後述します)

今年は本格的なクレーシーズンに備えて、2月にクレーの試合を2試合こなすというスケジュールに変えてきました。

個人的には、これは全仏をターゲットにするのであれば間違いなくいい判断だと思います。

3月MSはラオニッチと同じく780ptの失効があるので、そこをうまく乗り切って、クレーMS2試合を第4シード以内で迎えられるように頑張ってほしいです。

ナダルは6位争いから大きく抜け出し、むしろ5位の錦織に445pt差まで迫ってきました。

全豪でのプレーぶりを見る限り、強いナダルが戻ってきており、クレーシーズンではまた王様として君臨しそうな予感しかしません。

過去3勝と相性のいいインディアンウェルズMSで優勝するようなことがあれば、一気に第4シード争いに加わってくることは間違いなく、彼にしては比較的失効が少ないクレーシーズンで荒稼ぎすれば、一気に3位まで上がることも十分考えられます。

2強の牙城を崩すのはこの人になるのでしょうか。

チリッチは7位をキープはしましたが、下位との差がぐっと詰まってしまいました。

力的にはキャリアハイの6位を更新できると思うのですが、いかんせん安定感がなさすぎます。

しばらくは上位をうかがうというよりは、今の位置をキープできるかという我慢の戦いを強いられそうです。

ティエムはキャリアハイ(7位)を更新できるチャンスでしたが、ゴフィンに敗れてそれは叶いませんでした。

むしろ6位ナダルとの差が880ptとかなり離れてしまい、しばらくは更新が難しい状況です。

Top10に定着し続けることが当面の課題と言えるかもしれません。

モンフィスは昨年のQFまでたどり着けず、3つ順位を下げました。

とはいえ7位チリッチまで115ptと僅差、全豪も悪いプレーではありませんでした。

今年も昨年のような躍進を遂げることはできるでしょうか。

そしてフェデラーは昨年のSFの失効をカバーするどころか大きなおつりが出て、なんと1大会でTop10に復帰しました。

今後の失効が少ないのは言うまでもなく、今後の結果次第ではあっという間にTop5まで戻ってくる可能性も十分にあります。

35歳となった今でも高いモチベーションを持ち続けているフェデラー

ナダルとともに2強を崩す、いやBIG4時代が再びやってくるかもしれません。

そこに錦織、ワウリンカ、ラオニッチ、ディミトロフらが絡んでいけるかというのも今後の大きな注目ポイントになりそうです。

ゴフィンは、フェデラーにかわされてキャリア初のTop10入りはお預けとなりました。

ただ、QFに入ったことでTop10入りのチャンスはまだ十分残されています。(後述します)

昨年のティエムのような大きなブレイクスルーを果たすことはできるのでしょうか。

ベルディヒは組み合わせに恵まれず、Top10から陥落してしまいました。

2016/10/31付のランキングで1週だけ11位になりましたが、それを除くと2010/6/21以来、約6年半ぶりのことです。

このままジリ貧となってしまうのか、それとも2015年シーズンのような輝きを取り戻せるのか。

31歳、まだまだ老け込む年ではありません。

ディミトロフは13位に。

順位の上では2つしか上がっていませんが、Top10復帰に向けて十分な足掛かりを作ることができました。

前半戦は失効が少ないので、3月MSが終了するまでにはTop10復帰、それどころかキャリアハイ(8位)を更新していてもおかしくないぐらい調子は良さそうです。

期待して見ていきたいと思います。

それ以下では、フェレールがついに25位まで落としました。

一方、シードキープを果たしたカレノブスタがキャリアハイを4つ更新して26位に。

この表にはありませんが、全豪躍進組として、QFに入ったM.ズベレフが29歳にしてキャリアハイを10も更新して35位に。

また、チリッチを破って4Rまで進んだエバンスもキャリアハイを6つ更新して45位に。

ジョコビッチを破って4Rまで進む快進撃を見せたイストミンは39人をごぼう抜きして80位まで上がりました。

では最後に、2月の失効ポイントを除いた試算をしてみます。(上位20位まで、失効が多いところは赤字)

マレーの失効の少なさが際立ちます。

ジョコビッチは3月MSで2000ptの失効をカバーできるのかどうか。

できないと、後ろからさらに迫られる可能性も否定できません。

3位争いではワウリンカがリードしていますが、ドバイ優勝500ptの失効が控えるため現在のポイント差ほどは余裕がないことが分かります。

また、参戦予定のロッテルダムとドバイはともに500ですがかなり層が厚く、優勝どころかSFも簡単ではなさそうです。

ラオニッチはこの時期失効がないため、3位復帰のチャンスは十分にあります。

第2シードがカルロビッチのデルレイビーチは優勝しておきたいところでしょう。

錦織はやや離れていますが、ブエノスアイレスとリオは2連勝してもおかしくなく、そうなればラオニッチをとらえて4位に上がることは十分可能です。

今後を考えても、最低どちらかは優勝しておきたいところです。

ナダルはクレーシーズンへの足掛かりを作れるかどうかがカギ。

チリッチ、モンフィス、ティエムは失効が多いので、ランキングを維持できるか正念場。

特にティエムはミニマムが90ptなので、ソフィアではF以上、500の3大会はSF以上まで勝ち上がらないとポイントが加算できません。

一方フェデラーは失効がなく、稼いだだけそのままポイントになるので3月MSの結果次第ではTop5復帰もあり得ます。

ゴフィンは10位との差がほとんどなく、720ptの失効が待つ3月MSまでにTop10に入れるかどうか。

ディミトロフ、ツォンガ、ベルディヒも10位との差があまりないため、Top10に復帰する可能性は十分です。

キリオスはこの時期失効がかなり多く、Top20から陥落する恐れがあります。

ソックは初の10位台が見える位置で、第3シードで迎える可能性が高いデルレイビーチがカギになりそうです。

ということで、上位勢ではそこまでランキングの変動がなかった全豪オープンでしたが、選手間のポイント差が詰まっているところが多々あり、今後大きく変動する可能性を秘めています。

また、GSで第1・第2シードがともに決勝まで進めなかったのは、あの2014全米以来。

波乱の幕開けとなった今シーズン、9か月後のファイナルの顔ぶれはいったいどうなっているのでしょうか。

そして、錦織は今年こそMS・GSを獲れるのでしょうか。

2つ目のGS、全仏に向けた戦いがいよいよ始まろうとしています。