GPシリーズ 中国杯 女子シングルSP ~史上稀に見る大混戦~+本田真凛選手の報道について(苦言シリーズ最終章)
こんばんは、ch191です。
スポナビブログがサービス終了とのことで、ショックではあるのですが、私自身の更新頻度は格段に落ちてしまっている現状を鑑みると、仕方ないかなと納得してしまっている自分もいます。
さて今回は中国杯の女子シングルSPについてと、本田真凛選手の報道について苦言を呈したいと思います。
まずはSP上位選手と日本勢の結果を示します。(得点の横はTES+PCS-減点)
1.デールマン 70.65(37.51+33.14-0.00)
2.樋口 70.53(37.68+32.85-0.00)
3.ラジオノワ 70.48(37.17+33.31-0.00)
4.ザギトワ 69.44(39.01+31.43-1.00)
5.トゥクタミシェワ 67.10(35.67+31.43-0.00)
6.本田 66.90(35.01+31.89-0.00)
7.三原 66.90(34.66+32.24-0.00)
首位のデールマンから7位の三原までわずか3.75点差という、稀に見る大混戦となりました。
まず指摘しておかなければならないのは、全体的に採点が辛かったということ。(特にPCS)
ロステレコム杯に出場していた樋口やラジオノワが分かりやすいですが、2人とも全体的な出来は今回の方がよかったにもかかわらず、PCSは低くなっているのです。
34点(1項目平均8.5)を超える選手は出ず、Top7では2点差以内に全員が収まっています。
その点で言えば、本田は戦えるレベルまで上げて来れたかなという印象です。(1項目平均7.21→7.97)
PCSではザギトワとトゥクタミシェワを上回ったというのは、価値があると思います。
TES面でいうと、基礎点では後半にジャンプをそろえ、3Lz+3Lo、3F、2Aという、3A抜きでは最高難度の構成を持つザギトワが抜けていますが、転倒があった分TESは40点を超えませんでした。
その他の選手もスピンやステップでのレベルの取りこぼしや回転不足などがあり、TESも全体的に伸び悩んだ印象です。(全てのスピン・ステップがレベル4かつ全項目GOEプラス評価はラジオノワのみ)
3.75というのはあってないような差であり、全員に優勝のチャンスがあるのは言うまでもありません。
参考までにFSのPBを掲載します。
デールマン 142.41
樋口 145.30
ラジオノワ 139.53
ザギトワ 147.17
トゥクタミシェワ 141.38
本田 133.26
三原 146.17
本田がやや見劣りしますが、これはコレオシークエンス(2.00+α)がないジュニア時代のPBであり、その頃からPCSも上がっていることを考えると、ノーミスなら十分勝負にはなると思います。
フリーの強さや今季の実績などを考慮すると、樋口、三原、ザギトワの3人が優勝候補と言えそうです。
もちろん、ふたを開けてみないとわかりませんが…
では、本田真凛選手の報道について。
私は以前、以下のような記事を書きました。
よろしければご参照ください。
スポーツ報道のあり方について その2~若い選手の未来を潰すな~
この記事を書いたのは今から約1年前ですが、1年経った今、危惧していたことは現実になりました。
確かに、彼女がジュニア時代に残した実績は客観的に見ても素晴らしいものです。
世界ジュニア優勝、シニアの全日本で4位、ジュニアで2人しかいないトータル200点超えなど・・・
ですが、だからと言ってシニアデビューの年に目立った活躍ができる保証はどこにもありません。
むしろ、ジュニア時代に実績がある選手でも、いきなり活躍するのは難しいのが普通です。(メドベデワ、浅田真央など、ごく一部の例外を除いて)
昨シーズンのシニアデビュー組の三原と樋口も、大きな実績が出せたのはシーズン後半。
今大会SPのザギトワのPCSを見ても分かるように、シニア1年目の選手が最初からPCSで各項目8点台後半を連発!なんてことはまずありえないのです。(ちなみにメドベデワのシニア1年目、GPS初戦のSPのPCSは31.26)
したがって、ザギトワのように基礎点でアドバンテージがあるわけではない本田は、よほど完成度の高い演技をしない限り、台乗りすら難しいというのは分かっていたことです。
左臀部に痛みを抱えており、体調が万全でないというのならなおさらです。
また、現状を客観的に見れば、彼女が五輪切符をつかむ可能性は、宮原、三原、樋口の3人に比べると低いのは明らかです。
にもかかわらず、過剰なまでの報道が、彼女の期待値を必要以上に上げ、世論を必要以上に煽る。
そして、スケートカナダのように、期待値を大きく下回る結果となると、メディアは必要以上に落とし、アンチがさらに増え、必要以上に彼女をたたく者が現れる。
私はそのような人たちに声を大にして言いたい。
悪いのは彼女ではない、彼女のイメージを勝手に作り上げたメディアであると。
私のメディアに求める姿勢は一貫して「信憑性」と「公平性」を保ち、「アスリートへの敬意」を忘れないことです。
はっきり言って、このどれもが欠けているメディアが多すぎます。
そんな記事を書く奴らに、スポーツやアスリートへの愛は微塵も感じられない。
ここでブログを書かれているような、スポーツを愛する全ての人たちへの冒涜です。
ただ、この問題を提起してから約2年が経ちますが、改善は一向に見られません。
メディア側の姿勢が変わらないのであれば方法は一つしかありません。
私たち受け取る側が「賢く」なるしかないのです。
正直言って、メディアに踊らされている奴らも、メディアと同罪だと私は思うからです。
扇動記事に惑わされず、客観的な目を持ち、その上でアスリートを全力で応援する。
バカなメディアは私たちの手で「排除」すればよいのです。
日本はそれができる国だと、私は信じています。