いろいろな試算を少し本格的にやってみる。

気の向くまま、いろいろな試算をします。(ゆる~くではなくなってきたのでタイトルを変えました) 基本的にスポーツは何でも見ます。競技によっては人並み以上に知識もあります。 少しでも需要があればいいかなと思いますので、批判も含めたご意見・ご感想をお待ちしています。

NHK杯雑感 および GPファイナル展望(男子シングル編)

こんにちは、ch191です。

前回の女子シングル編が長くなってしまったので、男子はなるべく手短に行きたいと思います。

まずは、NHK杯の結果からです。

1位 村上大介          246.07

2位 セルゲイ・ボロノフ ロシア 236.65

3位 無良崇人          234.44

4位 羽生結弦          229.80

5位 ジェレミー・アボット 米国    229.65

6位 エラッジ・バルデ    カナダ 212.50

7位 ロス・マイナー    米国    205.36

8位 ジェレミー・テン    カナダ 203.27

9位 キム・ジンソ    韓国    197.20

10位 イヴァン・リギーニ イタリア 196.22

11位 ジョシュア・ファリス 米国    169.88

SPの出来を見てもしかしたら、と思いましたが、FSも見事な演技で、村上大介が涙の初優勝を飾りました。

2年前の同大会で、途中棄権したことを考えると、PBを40点以上も更新し、GOE評価がマイナスの要素が一つもないという会心の演技でしたから、万感の思いがあったことでしょう。

何より、SP、FS合わせて3回の4Sが全てクリーンに決まったことです。

4Sを含む3つの要素だけで全体得点の15%以上にあたる37.81点(基礎34.10 GOE+3.71)を獲得していますから、非常に大きかったです。

また、冷静さも持ち合わせていたことも勝因の一つです。

コンビネーションジャンプは4S+2T、3A+3T、3Lz+2Tの3つを予定していましたが、3A+3Tが3A+2Tになりました。

つまり、予定通り3Lz+2Tを飛んでしまうとそれが0点になってしまいます。(理由は前記事参照)

そこで、単独の3Lzに変更したのです。

この結果、3Lzの7.00点(基礎6.60x GOE+0.40)を加算できたわけです。

これがなければ、勝負は分からなかったかもしれません。

逆に言うと、コンビネーションが2つだけだったということですから、まだ伸びしろがあるとも言えます。

全日本選手権でも楽しみな存在です。

無良はFSで最終滑走のプレッシャーに負けてしまった格好です。

SPがかなり良かっただけに残念な演技となってしまいました。

冒頭が4A<になってしまい、ステップアウトでGOE-3.00、3Aも1Aになってしまいました。

後半になっても3Fが3F«になるなど、基礎点をかなり落としてしまいました。

それ以外の要素は良かったですので、GPファイナルで修正してくれることを期待しましょう。

羽生はSP、FSともに精彩を欠きましたが、わずか0.15点の差でGPファイナル進出です。

この合計点数では5位では2.39点足りませんでした。(詳細は前々回の記事パターン②C参照)

確かに良くはなかったですが、きれいに決まったジャンプの質はやはり高いものがありました。

特にFSの3A+3Tは15.72点(基礎13.86x GOE+1.86)を獲得するなど、ジャンプが全て決まったときには誰も勝てないなと思いました。

GPファイナルまであと約10日、オーサーコーチとともに、どこまで回復して、完成度を上げられるでしょうか。

2位に入ったボロノフは、SP、FSともにミスはありましたが、ベテランらしい演技でGPファイナル進出を決めました。

こちらも、GPファイナルまでにどこまで修正できるかでしょう。

この結果、GPファイナル進出の6名が決定です。

予想通り、残りの3人は無良・羽生・ボロノフになりましたね。

では、ポイント表です。

1 マキシム・コフトン(ロシア)    30(優勝243.34)(優勝243.35)

2 ハビエル・フェルナンデス(スペイン) 28(2位244.87)(優勝265.01)

3 町田 樹               28(優勝269.09)(2位237.74)

4 無良 崇人               26(優勝255.81)(3位234.44)

5 セルゲイ・ボロノフ(ロシア)    26(2位252.00)(2位236.65)

6 羽生 結弦               22(2位237.55)(4位229.80)

7 ジェイソン・ブラウン(米国)    20(2位234.17)(5位235.56)

スコアだけをみると、ブラウンが出られないのが少し不思議ですが。。。

というわけで、2年連続で3人の日本人選手が出場することになりました。

そして、3年連続の日本勢優勝もかかっています。

6名の構成は、日本勢3名、ロシア勢2名、スペイン勢1名です。

GPファイナルの出場回数は羽生が最多で4年連続4度目、フェルナンデスが2年ぶり3度目、町田が3年連続3度目、コフトンが2年連続2度目、無良・ボロノフは初出場となります。

羽生は昨年優勝で2連覇がかかります。

羽生以外は誰が勝っても初優勝となります。

では、今シーズンの成績を詳しく見ていきましょう。

2戦の平均点をTESとPCSに分けてみます。(カッコ内はTES+PCS-減点)※小数第3位は四捨五入。一部0.01の誤差あり。

コフトン    SP 81.54(42.18+40.36-1.00) FS 161.81(80.49+81.82-0.50) 合計243.35(122.67+122.18-1.50)

フェルナンデス SP 90.14(46.48+43.67-0.00) FS 164.80(79.55+85.75-0.50) 合計254.94(126.03+129.42-0.50)

町田      SP 91.05(47.75+43.30-0.00) FS 162.37(76.66+86.21-0.50) 合計253.42(124.41+129.51-0.50)

無良      SP 84.43(45.28+39.15-0.00) FS 160.70(79.81+80.89-0.00) 合計245.13(125.09+120.04-0.00)

ボロノフ    SP 84.63(45.33+39.30-0.00) FS 159.70(80.79+78.91-0.00) 合計244.33(126.12+118.21-0.00)

羽生      SP 80.48(37.72+43.27-0.50) FS 153.20(72.95+83.25-3.00) 合計233.68(110.66+126.72-3.50)

PCSの合計は15で割ると1項目の平均点となります。

唯一2連勝のコフトンですが、合計スコアでは5番目です。

スコアはフェルナンデスと町田が少し抜けていますね。

共通点はPCSの高さ。

1項目平均が8点台後半で、ボロノフとはこれだけで10点以上もの差をつけています。

両者、全てが完璧な演技だったわけではないので、PCSはここからさらに上がる可能性もあります。(2人ともPCS9点台の力を持っています)

昨シーズンの世界選手権メダリスト同士でもあり、優勝争いの軸となるのは間違いないです。

特にフェルナンデスは地元スペインの開催ということもあり、是が非でも優勝を、との思いは強いでしょう。

しかし、その熱い声援が力となるのか、大きなプレッシャーとなってのしかかるのか。

町田はスケートアメリカでの演技ができればまず勝てるでしょう。(このときの269.09は今シーズン世界最高)

エリック・ボンパールでのミスを修正できるかがポイントです。

ボロノフ、無良はともに1度250点台をマークしています。

PCSでは他者に劣りますが、ミスがない演技ができれば優勝争いに加わるでしょう。

コフトンは安定して高いスコアが出せているのは強みですが、2連勝できたのは組み合わせの妙だった感は否めません。

特に必ずミスが出ているSPがカギを握りそうです。

いい位置でFSを迎えられればチャンスがあります。

そして羽生です。

TES、PCSともに最高点が出せるのは間違いなくこの人です。

そして連覇にかける思いも強いでしょう。

本番までには戦えるレベルまで戻してくるでしょう。

唯一の問題はFS後半の体力のような気がします。

以上まとめますと、やはりカギを握るのは4Aや4S、3A+3Tなどの基礎点が10点を越えてくる要素の成否ではないかと思います。

同じ要素でも回転不足や転倒、GOEが絡むとそれだけで10点以上の差が生まれる可能性もあります。

当たり前の話ですが、いかにミスなくまとめられるか、でしょう。

これも難しいですが予想してみました。

①町田②羽生③フェルナンデス④無良⑤コフトン⑥ボロノフ

町田は昨シーズン、GPファイナル、オリンピック、世界選手権の3大会でいずれも羽生の後塵を拝しています。

しかし、徐々に差が詰まってきているのも事実。

今回は勝つような気がします。

羽生はこのレベルまで戻してくると思います。

ただ、あと一歩届かない、というパターンかなと。

フェルナンデスは地元の声援がプレッシャーになって、SP、FSのどちらかでミスが出ると思います。

ただ、地力はあるので3位には入るかなと。

無良は初出場の緊張感があって、SP出遅れての4位という予想。

ロシア勢は。。。いまいち上に来るイメージがわきません。

世代交代に苦労している感じがするので。。。

優勝ラインは260~270点ぐらいじゃないかと。

250点ではたぶん優勝できない気がします。

こちらも女子同様、ハイレベルな争いを、そして日本勢のメダルに期待しましょう。