いろいろな試算を少し本格的にやってみる。

気の向くまま、いろいろな試算をします。(ゆる~くではなくなってきたのでタイトルを変えました) 基本的にスポーツは何でも見ます。競技によっては人並み以上に知識もあります。 少しでも需要があればいいかなと思いますので、批判も含めたご意見・ご感想をお待ちしています。

世界選手権 女子SPまとめ

こんばんは、ch191です。

女子シングルSPの結果をまとめてみたいと思います(主にデータ的観点から)

まずは順位からどうぞ。(FS進出の24位まで)

1位 エリザベータ・トゥクタミシェワ ロシア    77.62

2位 エレーナ・ラジオノワ      ロシア    69.51

3位 宮原知子            日本     67.02

4位 村上佳菜子           日本     65.48

5位 本郷理華            日本     62.17

6位 李子君             中国     61.83

7位 ポリーナ・エドモンズ      米国     61.71

8位 グレイシー・ゴールド      米国     60.73

9位 アンナ・ポゴリラヤ       ロシア    60.50

10位 アレイン・チャートランド    カナダ    60.24

11位 アシュリー・ワグナー      米国     57.81

12位 マエ・ベレニス・メイテ     フランス   57.08

13位 ジョシ・ヘルゲション      スウェーデン 56.28

14位 ニコル・ラジコワ        スロバキア  54.40

15位 パク・ソヨン          韓国     53.95

16位 エレーネ・ゲデバニシビリ    グルジア   52.11

17位 ロベルタ・ロデギエーロ     イタリア   51.42

18位 キム・ヘジン          韓国     50.03

19位 ニコル・ショット        ドイツ    49.29

20位 アンネ・リネ・ヤシェム     ノルウェー  49.25

21位 ガブリエル・デールマン     カナダ    48.13

22位 ダーシャ・ゲルム        スロベニア  47.21

23位 アンゲリーナ・クチバルスカ   ラトビア   45.74

24位 ジャダ・ルッソ         イタリア   43.85

ついに3Aを成功させたトゥクタミシェワが、世界歴代3位という驚異的な点数を叩き出して首位に立ちました。

その3Aですが、ただ決めただけでなく、+1.57という大きな加点を得ました(基礎点と合わせて10.07)。

2Aだと、いくら加点がついても4点強が限界ですから、6点近く上乗せしたことになります。

ただ、それだけでは70点台後半には乗りませんから、いかに他の要素も素晴らしかったか、そして8点台後半をマークしたPEをはじめとするPCSがいかに高かったか、ということが言えます。

FSで3Aを入れるかどうかは分かりませんが、GPファイナルとの2冠にグッと近づいたのは間違いないでしょう。

ラジオノワも完璧な演技を見せて、PBに迫る得点を出して2位につけました。

スピン・ステップも全てレベル4、PCSも8点前後を揃えました。

トゥクタミシェワが良すぎただけに、その陰に隠れる形になってしまいましたが、8.11という差は彼女の力をもってすれば十分射程圏内でしょう。

今季トゥクタミシェワとの直接対決は2勝2敗と五分ですが、GPファイナル欧州選手権というビッグタイトルではともに敗れています。

3度目の正直となるでしょうか。

宮原は四大陸で出したPBをさらに更新し、自身初の60点台後半をマークして3位につけました。

冒頭の3Lz+3Tを完璧に決めて(+0.70)勢いに乗ると、最後まで勢いを保ったまま滑り切りました。

スピン・ステップでも全てレベル4をマークするなど、会心の演技だったと言えるでしょう。

PCSでも7点台後半が2項目と、四大陸からスコアを上げてきました。

これなら190点台はもちろん、FSの出来次第では200点に乗る可能性も出てきました。

首位とは10点以上の差がありますが、2位との差は2.49とわずか。

今シーズン最後ですし、完璧な演技とさらに順位が上がることを期待したいですね。

村上は彼女本来のスケーティングと、本当の意味での”佳菜子スマイル”も取り戻して4位と好発進です。

冒頭、度々回転不足をとられていた3T+3Tを完璧に決めると(+1.00)、3Fで謎の減点(-0.20)こそありましたが、スピン・ステップでもレベル4を揃えました。

PCSも4項目で7点台後半をマークし、30点台に乗せました。

SP60点台後半は、公認大会では2年前、4位に入った世界選手権でPBを出して以来のことです。

3位宮原との差はわずかに1.54。

世界選手権5度目の出場にして初の表彰台はなるでしょうか。

滑るたびにPBを更新してきた本郷は、今回もノーミスの演技でPBを更新し、5位と好スタートを切りました。

特に冒頭の3T+3Tは+1.10という大きな加点がつくジャンプとなりました。

スピン・ステップでも全てレベル4を獲得するなど、ジャンプ以外の要素でも着実に加点しました。

目標としている180点まではあと117.83で、PBをマークすれば越えられる計算です。

表彰台圏内まで5点差以内につけており、上位勢の出来次第では表彰台の可能性もあります。

今シーズンの有終の美を飾ることはできるでしょうか。

李子君は、地元の応援に応える演技を見せて、6位と好位置につけました。

冒頭のコンビネーションこそ2本目が回転不足となりましたが、それ以外は全てレベル4のスピン・ステップも含めて素晴らしい演技でした。

四大陸からの好調を維持していますね。

世界選手権自己最高順位(7位)の更新はもちろん、地元での表彰台の可能性も十分です。

エドモンズは四大陸優勝の勢いそのままに、良い演技を見せましたが7位。

3Fの!がかなり響きました(-0.70)。

とはいえ上位とはそれほど差がありませんし、四大陸のときも4位からの逆転優勝でした。

四大陸の再現となれば、表彰台も十分見えてきます。

ゴールドはやはり怪我の影響が残っているのか、8位と出遅れました。

冒頭の3Lzでステップアウトし、3Loでも着氷でバランスを崩し、結果コンビネーションを入れられないという大きなミスを犯してしまいます。(+3Tがないと基礎点だけで4.1下がる)

それでも質の高いスピン・ステップと、PCSの高さでカバーし、60点台に乗せてきました。

特にスピン・ステップは全てレベル4はもちろんのこと、4つ合計で+3.98という大きな加点を得ました。(これはトゥクタミシェワの+4.00に次ぐ数字で、トゥクタミシェワは1つレベル3があるので、実質スピン・ステップで最も点数を稼いだのはゴールド)

PCSも4項目で7点台後半と、上位2人に次ぐ3番目の高い評価を受けました。

つまり、表彰台争いに踏みとどまったとも言えますので、FSのジャンプの出来次第では自身初の表彰台も十分あり得ます。

ポゴリラヤは私の危惧が当たってしまった格好で、まさかの9位に沈みました。

上位2人に比べるとやはり安定感に欠ける印象があるんですよね。。。

3Loの転倒からリズムがおかしくなり、2Aもやや詰まった着氷に、ステップでは途中でバランスを崩してしまいました。

かなり激しい転倒だったので、どこか痛めていないとよいのですが。。。

ただ、巻き返す力は十分持っている選手ですし、他の選手如何では表彰台争いに加わってくる可能性はあります。

そしてそれ以上に出遅れてしまったのは11位のワグナー。

ジャンプが全てマイナス評価となってしまい、今シーズン一番悪い出来になってしまいました。

冒頭の3Lz+3Tで3Tをつけに行ったのは少し無理があったような気がしました(3Lzでやや流れが止まってしまったため。結果3Tは回転不足となり転倒)

2Aもオーバーターン、3Fもタッチダウン気味で回転不足もとられました。

それでもPCSはさすがの30点台。

GPファイナルでもSP最下位から表彰台を掴みましたし、その再現はなるでしょうか。

ということで、日本勢は良い意味で予想を裏切ってくれました。

なにせ全員ほぼ完璧な演技だった上、激しい3位争いの中で3位から5位を独占しましたからね。

まるで文科省が支援ランクを下げたことが間違いだと言わんばかりです。

だから言ったんですよね、時期尚早だって。

もし今もAランクのままだったとして、世界ジュニアと今回のこの結果を見ても、やっぱりCランクに下げられますかね。(まぁまだ気が早いですが)

確かに個人レベルで見れば、まだ上位2人には太刀打ちできないかもしれません。

しかし、国レベルで見れば、今でも日本が世界トップレベルであることは明らかでしょう。

そしてそのことは、出場している選手たちが必死になって結果で示してくれています。

しかも次のオリンピックまではまだ3年もあります。

それまでにロシア勢に追いつけない保証がどこにあるんですか?

文科省は頑張っている彼女たちの努力を踏みにじるようなことをする権利があるんですか?

世界最高峰の舞台で5位以内に3人全員が入っているというすごさが本当に分かっているんですか?

東京オリンピックに向けて強化していくと言っていますが、じゃあ冬季の競技は関係ないんですか?

そんな考えでは日本のスポーツ界のこれ以上の発展は望めないと思います。

これで見直しをしないようなら、本気で文科省に抗議しますよ。

すいません、熱くなってしまいましたが、私と同じような思いを持っている人は少なくないと信じています。

それぐらい、彼女たちの演技は心に迫るものがありました。

実際に涙が出ました。

だからこそ、本当にみんな頑張ってほしいと思うし、全力で応援したい。

そして、その選手たちの思いに応えてあげてほしい、ただそれだけなんです。

とにかく、明後日のFS、日本中みんなで、全力で応援しましょう。

もちろん、明日から始まる男子も全力で応援しましょう。

最後に、本当だと信じてこの言葉で締めたいと思います。

Where there’s a will, there’s a way.