スポーツ報道のありかたと今後の日本スポーツ界
こんにちは、ch191です。
予定では全日本フィギュアの感想を書く予定だったのですが、すでにたくさん書かれている方がいますし、新年一発目の記事としてふさわしいものにしようということで、今回は「スポーツ報道のありかたと今後の日本スポーツ界」について書いていこうと思います。
「スポーツ報道」という大きな括りにしましたが、どうしてもフィギュア寄りになってしまうことはご容赦ください。
さて、今回この記事を書こうと思った経緯ですが、突発的に書こう!と思ったわけではなく、以前から一部のスポーツ報道と各競技団体のスタンスについて、違和感と苛立ちを覚えていました。
いつかこれは記事にしたい、と思っていたのですが、なかなかタイミングがありませんでした。
そんな時に目にしたのがnocturne様の以下の記事でした。
浅田真央選手は進化している 追いつかなければならないのは世界の方だ
確かな知識に裏付けされた鋭い視点、そして何よりフィギュアスケートに対する深い愛情がひしひしと伝わってきて、本当に感動しました。
それと同時に、書くことをためらっていた自分が恥ずかしくなり、やはり書かなければ、と思った次第です。
では本題に移りたいと思います。
まずスポーツ報道についてですが、一部とはいえ目に余る記事や報道が見受けられます。
なぜそんな記事や報道が出てしまうのかを自分なりに考えてみた結果、大きく3つの要素が欠けているためだと結論付けました。
1つ目は「記者の取材不足と知識不足」です。
競技の様子を伝える記事なのに、明らかに書いた記者が実際には見ていないだろうと感じたり、どこかからコピペしただけだろうと感じる記事が散見されます。
下手したら自分の方がもっとマシな記事が書けるんじゃないかと思うときさえあります。
また、間違った情報を平気で流していたりします。(過去にはコメント欄で間違いを指摘したことも。。。)
何も知らない人は、その間違った情報を信じてしまう可能性があります。
そして今はそれが簡単に拡散してしまう時代です。
正しい情報を正確に伝えるのがメディアの役割である、ということを再認識してもらいたいと思います。
2つ目は「長期的なものの見方の欠如」です。
確かに結果は大事です。
ですが、なぜ目先の結果だけにこだわるのでしょうか。
例えば浅田真央選手。
彼女は1年の休養を経て今シーズン競技に復帰してきたわけですが、当初の考え方としては、2018年の平昌五輪を見据えての復帰だと思います。(あくまでも「当初の考え方」です)
だとすると、まだ2年以上もあります。
にもかかわらず、GPシリーズが始まる前から「結果を出せなければ引退か」みたいな報道があったり、始まってからもNHK杯で「3位に終わる」という書き方をしたり、極めつけはGPファイナルで「振るわず、最下位に沈む」。
合計194.32点という得点を見て言っていますか?
これは決して悪い点数ではなく、むしろ高い部類に入る点数です。(GPシリーズの方では間違いなく表彰台に立てる点数)
この点数で最下位になってしまうことが「異常」なのであって、戦えるレベルに戻ってきていることは明らかです。
現世界女王トゥクタミシェワさえ出場を逃したファイナルに出場できていることがその一番の証明です。
「全日本は引退覚悟だった」という本人のコメントがありますが、果たして本当に本人の意思だけでこの考えに至ったのでしょうか?
そして、この「長期的なものの見方」ができていないのはメディアだけではありません。
各競技団体などにも同じことが言えます。
例えば、女子水球で、当初は五輪最終予選に派遣しないという方針だったようです。(先日、一転派遣することになったようですが)
確かに約500万円という予算の問題と、五輪に出場するのは難しいという見方はあるでしょう。
しかし、選手育成という観点から考えれば経験を積ませるこの上ない機会です。
その500万円を、東京五輪を見据えた「先行投資」であるという考え方がなぜ最初から出てこなかったのでしょうか?
文部科学省もそうです。
五輪開催の3年前にあたる、昨年2月の冬季五輪のマルチサポート事業のターゲット競技の指定で、フィギュアスケートは男子が最高ランクのA、女子が最低ランクのC(それまではA)になりました。
鈴木選手が引退し、浅田選手が休養、GPファイナルに出場できたのは繰り上げとなった本郷選手のみ、という状況を見て決定したと思われますが、3年後のことをそのときの状況だけで決めるのはどうなのでしょうか。
むしろジュニアGPファイナルに3選手が出場し、樋口選手が銅メダルを獲得したということを評価し、せめて「メダル獲得が期待される、または複数のメダル獲得の可能性がある」Bランクに留めるのが妥当だったというのが私の見解です。
Cランクになった後、宮原選手が世界選手権、GPファイナルでともに銀メダルを獲得、樋口選手が世界ジュニア選手権で銅メダル、今年もジュニアGPファイナルには3選手が出場し、本田選手がジュニアGPファイナルで銅メダルを獲得するなど、シニアでもジュニアでも国際大会での活躍が目立ってきました。
この状況を見ても「メダル獲得の可能性がある」程度のCランクのままでいいのでしょうか?
今年、ターゲット競技の指定は中間見直しが行われることになっていますが、果たしてどうなるでしょうか。
そして3つ目、これが最も重要な要素だと思いますが、「アスリートに対する敬意の欠如」です。
いわゆるトップアスリートと呼ばれるような選手たちは、人一倍努力を重ねた結果、その地位に上り詰めた人ばかりです。
だからこそ、これからの世代の憧れや目標となる存在になっています。
もちろん、競技人口の増加や普及を目指し、その競技のトップアスリートがメディアに露出したりする必要はあると思います。
ラグビーはそれによって昨年、大きく知名度を上げることに成功しました。
しかし、あくまでもアスリートであって、芸能人ではありません。
テレビに出ることが仕事ではないのです。
にもかかわらず、まるでアイドルのように扱い、必要以上に周囲の期待をあおり、結果が出なければこぞって叩く。
この根底にあるのは、アスリートへの敬意が著しく欠けていることに他ならないと思います。
というよりもはや「侮辱」していると言ってもいい。
アスリートの足を引っ張って楽しいですか?
そんなことを記事にしている人たち、報道している人たちに、アスリートを語る資格はありません。
全メディアに、アスリートに対する敬意を忘れず、常にフラットな目線で報道することを求めます。
私はスポーツが大好きです。
だからこそ、日本選手が世界で活躍する姿を見たい。
しかし、アスリートだけが頑張ってもそれは望めません。
各競技団体、政府、メディア、そして私たちファンが一丸となって、日本全体のスポーツに対する意識を上げないことには、なかなか難しいと思います。
4年後の2020年には、自国開催となる東京五輪があります。
そこに向けて機運を高めていかなければならないところに、国立競技場の建設費の問題や、ロゴの盗作疑惑…
本気で五輪を成功させようと思っているのか疑いたくなるような体たらくです。
主役はあくまでもアスリートです。
「アスリート・ファースト」の原点に立ち返り、日本全体でスポーツ界を盛り上げていけることを切に願っています。