いろいろな試算を少し本格的にやってみる。

気の向くまま、いろいろな試算をします。(ゆる~くではなくなってきたのでタイトルを変えました) 基本的にスポーツは何でも見ます。競技によっては人並み以上に知識もあります。 少しでも需要があればいいかなと思いますので、批判も含めたご意見・ご感想をお待ちしています。

前半戦終了!レースランキングを改めて考察(Top8とそれ以下の力関係)

こんばんは、ch191です。

全仏オープン、男子はジョコビッチが悲願のキャリアグランドスラムを達成、女子は若干22歳のムグルッサがセリーナを破ってGS初優勝を飾り、幕を閉じました。

どちらも違った意味で新しい時代に突入していきそうな、そんなことを感じさせる大会だったのではないでしょうか。

さて、ちょうど全仏が終わり、シーズン前半戦が終わったことになります。

ということで、今回はローマMS後でも触れましたが、レースランキングについて。

以下、20位までを示します。(前回同様Mandatoryのポイント、割合も)

2016/6/6付レースランキング(Top20)

               Mandatory

1.ジョコビッチ    7950 7600(95.6%)→

2.マレー       4725 4090(86.6%)→

3.ナダル       2930 1010(34.5%)→

4.錦織        2680 2040(76.1%)→

5.ティエム      2600 1180(45.4%)↑1

6.ラオニッチ     2335 1905(81.6%)↓1

7.ワウリンカ     2325 1100(47.3%)↑1

8.ゴフィン      1725 1450(84.1%)↑1

9.モンフィス     1675  775(46.3%)↓2

10.ベルディヒ     1540 1260(81.8%)↑2

11.バウティスタ=アグ 1445  630(43.6%)↓1

12.キリオス      1340  820(61.2%)↓1

13.クエバス      1208  290(24.0%)↑1

14.フェレール     1170  765(65.4%)↑1

15.フェデラー     1140  810(71.1%)↓2

16.ツォンガ      1080  585(54.2%)↓1

17.ガスケ       1060  720(67.9%)↑10

18.プイユ        984  601(61.1%)↓1

19.トロイツキ      945  380(40.2%)↑2

20.コールシュライバー  930  120(12.9%)↓2

ジョコビッチは全仏優勝でファイナル進出を確定させたので、太字にしてあります。

昨年同時期(7585pt)を超える勢いで、年間グランドスラムの挑戦権も維持しています。(全豪⇒全仏の連続優勝は、ジム・クーリエ以来24年ぶりの快挙、ナダルは全仏を取れなかった2009年に唯一の全豪優勝、フェデラーの唯一の全仏優勝も2009年)

また、GS4大会連続優勝も達成しました。(正式名称はノンカレンダーイヤーグランドスラムですが、ジョコスラムと言うべきでしょうか)

1969年のロッド・レーバー以来、47年ぶりとなる3人目となる年間グランドスラム、そして今年は男子では史上初となる年間ゴールデン・スラム(GS+五輪金)、さらに前人未到の年間スーパー・スラム(GS+五輪金+ツアーファイナル優勝)もかかっていますが、一番の難関を乗り越えたジョコビッチならやってしまうかもしれません。

マレーも全仏初優勝はならなかったものの、昨年同時期(4480pt)を超える勢いで、好調をキープしています。

ジョコビッチの年間グランドスラムを阻止するのは、地元のウィンブルドンで最も芝を得意とする(キャリア勝率.841、ウィンブルドン1回とロンドン五輪優勝)マレーになるかもしれません。

ナダルは手首のケガでまさかの3R敗退になってしまいましたが、レースランキングでは3位をキープしています。

ウィンブルドンの前哨大会は欠場が決まっており、ウィンブルドンに出られるかどうかは微妙な状況です。

強かったナダルが戻ってきつつある今シーズン、ここで無理してほしくはないですが、早く万全の状態で復帰できることを祈りたいと思います。

錦織は雨に泣かされて全仏はベスト16、GS・MSの連続QF以上は途切れてしまいましたが、レースランキングでは4位をキープしています。

Mandatoryも前回Top4の目安として挙げた4000ptの半分、2000ptをクリアしていますし、安定して上位に勝ち上がれるようになっているのは昨年からの進化と言っていいでしょう。

後半戦は前半戦と同じペースを維持するとともに、MS・GSのタイトルを獲ることを目標に戦ってほしいです。

そのためには、MS以上の大会での第4シード(つまりエントリーランキング4位)を取りに行くことが最優先事項です。

ウィンブルドンでそのきっかけをつかめるでしょうか。

ティエムはGS初のベスト4で錦織と僅差の5位に浮上してきました。

前回の記事ではMandatoryで稼げないとファイナル進出は厳しいと論じましたが、これでMandatoryの割合も50%近くまで上昇したので、十分可能性が出てきました。

ただ、最も得意とするクレーシーズンが終わりましたし、500ではSF以上、250ではF以上でないとポイントが増えない状況なので、まだ予断を許しません。

エントリーランキングで7位となり、今後の失効ポイントを考えても大きくランキングを落とすことはあまり考えられないので、上位シードの恩恵を生かしてMandatoryで結果を残していきたいところです。

真価が問われる後半戦になりそうです。

ラオニッチは1つ順位を下げて6位。

やはり万全ではないのか、4回戦でエースを7本しか取れずストレート負けしました。

それでもMandatoryの割合が8割を超えており、大きな大会で結果を残してきているのは間違いありません。

2年ぶりのファイナル進出へ、カギはやはりコンディションになりそうです。

ワウリンカが全仏で一気に720ptを稼いで7位まで上げてきました。

序盤戦で苦しみましたが、昨年の優勝同様、持ち前のGSでの強さを発揮してきました。(実はクレーでの勝率が一番良く.671、GS勝率は.721で現役ではBIG4、ツォンガに次いで6番目の高さ)

これで4年連続のファイナルへ、弾みがついたと言えるでしょう。

ウィンブルドン、全米は過去2年全てQF以上、BIG4の急先鋒はやはり彼になるのでしょうか。

ゴフィンはティエムに敗れたものの、GS初のベスト8で再びファイナル圏内に入ってきました。

エントリーランキングでも11位とTop10が目前に。

まだ下位との差がわずかなのでまだ何とも言えませんが、Mandatoryでこの成績を残し続ければ十分ファイナル圏内に残れると思います。

500以下でも加点の余地は十分あるので、ティエムとともに初のファイナル進出を期待したいところです。

そして9位以下ですが、上位との差はそれほど大きくなく、まずウィンブルドンで大きく動くことが予想されます。

注目したいのはベルディヒフェデラー、ガスケです。

ベルディヒは全仏ベスト8でファイナル圏内に迫ってきました。

Mandatoryの割合も高く、500以下でまだまだ加点が望めます。

コーチも変わるだろうということで心機一転、後半戦で巻き返せば7年連続のファイナルが現実のものとなります。

フェデラーは全仏を欠場となり、ついに15位まで落ちてしまいました。

このままではファイナル進出が14年連続(!)で途切れてしまいます。

ウィンブルドンの前哨大会に2大会出場予定で、芝の勝率.877を誇る芝の王者がここから巻き返せるのか、今週から注目です。

ガスケはケガで序盤出遅れたものの、全仏ベスト8で一気に17位まで順位を上げてきました。

昨年はウィンブルドンでベスト4、全米でもベスト8に入るなど、後半戦で1875ptを稼ぎ、9位まで上がりました。

昨年以上の活躍を見せることができれば、自身3度目のファイナル進出の可能性が出てきます。

ということで、まだまだ激しい変動が予想されるファイナル進出争い。

前回はMandatoryの重要性を確認してみましたが、今回はTop8とそれ以下の力関係を見るために、Mandatoryにおけるレースランキング上位8人の占有率というものを算出してみます。

これは、8人の成績の理論値(全員がQF以上)に対する実際の獲得ポイントの割合です。

つまり、理論値はGSならW(2000)+F(1200)+SF(720)×2+QF(360)×4=6080pt、MSならその半分の3040ptで、12大会の合計は6080×4+3040×8=48640ptとなります。

では、2014年、2015年について見てみましょう。

2014年          Mandatory

1.ジョコビッチ 10010  8820

2.フェデラー   8700  6390

3.ナダル     6835  5635

4.ワウリンカ   4895  3380

5.錦織      4625  2945

6.マレー     4475  2970

7.ベルディヒ   4465  2810

8.ラオニッチ   4440  3310

合計           36260 占有率74.5%

9.チリッチ    4150  2920

2015年          Mandatory

1.ジョコビッチ 15285 13400

2.マレー     8470  7190

3.フェデラー   7340  5160

4.ワウリンカ   6500  5035

5.ナダル     4630  2670

6.ベルディヒ   4620  2890

7.フェレール   4305  1765

8.錦織      4035  2125

合計           40235 占有率82.7%

9.ガスケ     2850  1900

最終盤まで激しいファイナル争いが繰り広げられた2014年は、GS優勝者のチリッチが9位にとどまったことも影響したか、占有率は少し低くなっています。

一方2015年は上位8人が以下を大きく引き離しており、占有率も上がっていることが分かります。

ちなみに今年は現在のところ83.8%(20375/24320)ですが、昨年同時期はなんと90.3%(21955/24320)なので、やはり昨年よりばらけていることが分かりますし、上位の顔ぶれも変わってきています。

ジョコビッチ1強の様相はしばらく変わりそうにありませんが、Top10を巡る争いはますます熾烈を極めそうです。

ファイナルの顔ぶれに変化は起こるのか、今後も目が離せません。