いろいろな試算を少し本格的にやってみる。

気の向くまま、いろいろな試算をします。(ゆる~くではなくなってきたのでタイトルを変えました) 基本的にスポーツは何でも見ます。競技によっては人並み以上に知識もあります。 少しでも需要があればいいかなと思いますので、批判も含めたご意見・ご感想をお待ちしています。

紀平梨花選手の魅力は本当にトリプルアクセルだけ?プログラム構成を検証

こんばんは、ch191です。

前回記事では大きなミスを犯してしまい、大変失礼いたしました。

今回は女子史上7人目となる3Aを決めた紀平梨花選手のプログラム構成について、少し検証してみたいと思います。

というのは、たまたまフリーの演技を見ることができ、そのすごさを体感したからです。

まずは紀平選手について、簡単なプロフィールを。

兵庫県出身の14歳で、まだ中学2年生。

宮原選手や本田選手といったワールドクラスの選手を育てている、濱田美栄コーチと田村岳斗コーチに指導を受けています。

昨年は全日本ノービス1位、その資格で出場した全日本ジュニアではフリーで3Aに挑戦し、転倒してしまいましたが、総合11位に入りました。

満を持してジュニアGPシリーズデビューとなった今シーズン、第2戦チェコ大会で185点台の高得点をマークし、いきなり2位表彰台。

そして、先日の第5戦スロベニア大会のフリーで3Aを成功させ、フリーではジュニア歴代3位となる128.31点をマーク。

合計でもジュニア歴代4位となる194.24点でシリーズ初優勝を飾り、同時にJGPファイナル進出も決めました。

ということで、本当にすごいことを成し遂げた紀平選手ですが、マスコミはやはり3Aだけを取り上げています。

ある程度フィギュアの知識がある方ならわかると思いますが、ジュニアではSPで3Aを入れることはルール上できません。

ですが、紀平選手は2戦とも60点台後半という、ジュニアではかなり高い得点をマークしています。

これは、3A以外のジャンプの要素、ジャンプ以外のスピン・ステップでも得点が取れるという何よりの証拠です。

結論として、紀平選手の魅力は3Aだけではないということです。

では本題の検証に入りましょう。

今回はFSに絞りたいと思います。

まずはジャンプの構成です。(カッコ内はジャンプの基礎点、xがついているジャンプは演技後半で基礎点が1.1倍になっている)

3A(8.50)⇒3Lz+3T(10.30)⇒3Lo(5.10)⇒2A+3T(8.36x)⇒3F+2T+2Lo(9.24x)⇒3S(4.84x)⇒3Lz(6.60x)

3回転を8本飛ぶという、いわゆる「エイトトリプル」の構成です。

基礎点の合計は52.94。

これはシニアでも最高レベルに匹敵します。(同じくエイトトリプルだったソチ五輪時の浅田選手は53.06)

3Aもそうですが、3Lzを2本入れて、しかも演技の最後に持ってくるあたりにジャンプへの自信が感じられます。

実際、着氷がやや詰まったところはあったものの、すべてプラス評価。

特に2A+3Tは+1.40という大きな加点を得ています。

ということで、現時点でも相当なレベルにあることがお分かりいただけたかと思いますが、これでもし練習ではできていると言われている3A+3Tを組み込んで、3Aを2本飛ぶという構成になったら…

考えただけでもワクワクしますね。

そして、ジャンプ以外の要素ですが、スピンはすべてレベル4を獲得。

ステップはレベル3でしたが、+2をつけるジャッジもいました。

宮原選手や本田選手を見ていてもわかりますが、濱田コーチの門下生は、本当に基礎がしっかりできているなぁと感じます。

結果、TESだけで見れば(おそらく)ジュニア史上初の70点台となる71.74点をたたき出したのです。

これは昨シーズンの世界選手権で当てはめてもメドベデワ(77.76)、宮原(73.54)に次ぐ3番目。

しかも、ジュニアですのでコレオシークエンス(2.00+α)が入っていないことから、さらに得点の高さが際立ちます。

もちろん、PCSの方はこれからだと思いますが、すでに4項目で7点台をマークしており、ジュニアデビューしたての選手としては高い評価を得ていると言えます。

年齢制限で平昌オリンピックには出場できませんが、将来が非常に楽しみな選手がまた一人出てきました。

ということで、今回は紀平選手を取り上げましたが、世界ジュニア女王の本田選手や、その本田選手に勝って優勝を果たした坂本選手、若干13歳でJGPシリーズの表彰台に乗った山下選手、14歳にしてJGPファイナルと世界ジュニアの両方を経験している白岩選手など、日本の女子ジュニアはとにかく層が厚い。

シニアは日本、ロシア、アメリカの3強と言われていますが、ジュニアは日本、ロシアの2強。

層の厚さは日本が上といっても過言ではありません。

昨年の全日本選手権でも、樋口選手が2位、白岩選手が5位、新田谷選手が8位、本田選手が9位と、ジュニア勢が席巻しました。

今年の全日本も、その再現となっても全く不思議ではありません。

日本ジュニア勢の活躍にも注目です。