いろいろな試算を少し本格的にやってみる。

気の向くまま、いろいろな試算をします。(ゆる~くではなくなってきたのでタイトルを変えました) 基本的にスポーツは何でも見ます。競技によっては人並み以上に知識もあります。 少しでも需要があればいいかなと思いますので、批判も含めたご意見・ご感想をお待ちしています。

スポーツ報道のあり方について その2~若い選手の未来を潰すな~ ※11/25追記

こんばんは、ch191です。

今回はスポーツ報道についての苦言シリーズ(?)第2弾です。(よろしければ第1弾”スポーツ報道のありかたと今後の日本スポーツ界”も合わせてご覧ください)

主に日本の女子ジュニアフィギュア選手に対する報道についての苦言です。

最近、特に目に余るようになってきたので我慢しきれず書くこととなりました。

以前のものと内容が重複する部分がありますが、そこは大目に見ていただければと思います。

まず、現在の女子ジュニアの状況を考えると、世界的に見ても「ロシアと日本の2強」といって差し支えないと思います。

ジュニアGPファイナル進出者を見ると、3年連続でロシアと日本が3枠ずつを分け合っており、今年に至っては成績上位10人までをロシアと日本で独占しています。

それぐらい日本女子ジュニアのレベルは高いです。

にもかかわらず、なぜ特定の選手だけを持ち上げようとするのでしょうか。

そう、今年の世界ジュニアで優勝した本田真凜選手です。

芸能界でも活躍する妹を持ち、きょうだい全員がフィギュア選手という上に、容姿端麗、実力も折り紙付きと来れば注目が集まるのは仕方がないのかもしれません。

ですが、他にも実力のある選手がそろっているにもかかわらず、あまりにも本田選手ばかりに注目が集まりすぎていると思うのです。

例えば、先日の全日本ジュニアを制した坂本花織選手を、報道各社は「平昌の新星」と称していますが、すごく違和感を感じます。

昨シーズンは足の疲労骨折の影響で思うような滑りができませんでしたが、2年前の全日本選手権では若干14歳で6位に入るなど、すでに才能の片鱗を見せていました。

「新星」とうたうのならばせめてこの時でしょう。

迎えた今シーズン、JGP横浜で187点台という、ジュニアでは極めて高い得点で本田選手を抑えて優勝しました。

にもかかわらず、報道されるのは「本田選手が負けた」ということばかり。

ひどいものでは坂本選手が優勝したということすら書いていないようなものもありました。

そして、今回もどちらかといえば本田選手の記事の方が目立ちました。

さらに「平昌の新星」という書き方…

乱暴な言い方をすると、「なんでスポーツ記者であるお前らより、一般人である俺の方が知ってるんだよ」って感じです。

ある意味、上記の坂本選手よりもひどい扱いだったのは2位に入った白岩優奈選手です。

ジュニアデビューとなった昨シーズン、シリーズ2連勝でJGPファイナルに出場(5位)し、全日本ジュニアで2位。

全日本選手権では若干14歳で村上佳菜子らを抑えて5位、世界ジュニアでも4位と、大舞台でも結果を残し続け、その強さに驚かされました。

しかし、今年4月に左足を骨折し、2カ月練習ができなかったため今シーズンは出遅れ、2年連続のJGPファイナルは逃してしまいました。

そんな逆境を乗り越えて見せたのがあの演技です。

演技後の彼女のうれしそうな表情を見て、涙が出そうになりました。

しかし、某テレビ局では、スポーツ番組であるにもかかわらず、白岩選手をほぼ完全に無視していました。

盛んに取り上げていた本田選手よりも1つ上の順位である彼女を。

それこそ、2位じゃダメなんでしょうか?

また、見出しに「白岩」が入っている記事は1つもありませんでした。

正直あきれてものが言えません。

※追記※

11/25に白岩選手に関する記事が出ました。(フィギュア白岩優奈、ケガから復活 勇気の2位…真凜も目を潤ます)

こういう記事を見ていると、日本のメディアもまだまだ捨てたもんじゃないなと思えます。

また、紀平梨花選手について。

今年3Aを成功させ、「天才少女」として一気にメディアの注目を浴びました。

また、女子初となる3A+3Tを練習では成功させており、さらに注目度は増していきました。

メディアは3Aのことばかりを取り上げていますが、彼女の魅力は3Aだけではないということを、私は自分の記事で書いています。(もしよろしければ”紀平梨花選手の魅力は本当にトリプルアクセルだけ?プログラム構成を検証”をご覧ください。)

全日本ジュニアではジャンプが決まらず、11位と思うような結果が出ませんでしたが、2Aでも転倒したのを見ると、その1週間前に左ひざを痛めたことが影響したのは間違いないと思います。

そこでも嫌な想像が働いてしまいます。(憶測で語るのはあまり好きではありませんが…)

周囲が3A+3Tの成功を期待するあまり、練習過多になったことが痛めた原因ではないのか、と。

「結果を残さなければ」と思う気持ちが強くなればなるほど、逆に空回りしてしまうことは少なくありません。

彼女もまだ14歳、急激に周りの環境が変わったことで、心理面に及ぼす影響は計り知れません。

そして何より、本田選手自身もメディアに振り回されている「被害者」だと言えます。

元々はどちらかというと「天才子役、本田望結の姉」という扱いで、そこまで大きくは取り上げられていませんでしたが、昨年のJGPファイナルで3位に入ると、その実力が認められるようになり、先述の通り世界ジュニアで優勝。

日本勢では浅田真央村上佳菜子に続く快挙とあって、その注目度は一気に増し、いつしか「本田望結の姉」という肩書は必要なくなりました。

一挙手一投足が話題となり、密着取材も当たり前に。

その過剰ともいえる取り上げ方からは、メディアが彼女を女子フィギュア界のスターに仕立て上げようとする意図がはっきりと見て取れます。

しかし、今シーズンは初戦のアジアフィギュア杯で優勝した後は、5試合優勝から遠ざかっています。

その度に取り上げられるのは悔しさをにじませた、時には涙を浮かべた表情やコメント。

それを見てもなぜ分からないのでしょうか。

周囲の過度な期待が、プレッシャーとして弱冠15歳の少女にどれだけのしかかっているのかを。

それが、彼女本来の伸び伸びとした演技を奪っていることを。

そして、練習でできていることが本番でできない一番の要因になっていることを。

総じて言えることは、将来のある有望な選手を、メディアが潰すようなことが決してあってはならないということです。

これはフィギュア以外でも、野球の清宮幸太郎、サッカーの久保建英、ゴルフの畑岡奈紗など、挙げればきりがありません。

また、今シーズン、浅田真央選手が不調に陥っている要因が、ケガだけではなく、私はメディアにあると思っています。

シリーズ最低順位の9位となったフランス杯後の「結果や自分の自信というものが、すべて失われた」というコメントを見たからです。

彼女のコメントを見た瞬間、怒りを通り越して悲しくなりました。

そういうコメントを「させて」しまっているのは何が原因かと考えた時に、「メディアが不当に彼女を貶めている」ことが真っ先に思い浮かんだのです。

現在の日本フィギュア界に多大な功績を残している彼女に対して、よくそんな仕打ちができるなと。

全日本選手権に照準を合わせ、五輪プレシーズンであることを差し引いても、フランス杯は欠場してもいいのではないかと思っていたぐらいです。

メディアがそれを許さなかった、と考えるのは横暴でしょうか。

報道に求められるのは「信憑性」と「公平性」、そして「アスリートへの敬意」です。

そして私たちも、書いてあることや放映されていることを鵜呑みにせず、「ある程度の」見る目を持つ必要があります。

今やネットで簡単に情報が拡散する時代です。

昨日、東北地方で起こった地震でも、5年前の東日本大震災時の津波の画像を使った悪質なデマが広まったりしています。

もちろん一番悪いのは発信源となっている人や媒体ですが、それをよく考えもせずに広めてしまう方にも責任があります。

4年後に東京オリンピックを迎えるにあたって、発信する側、受け取る側の双方が質を高めていくことが大切だと思うのです。

それこそが、真の「アスリート・ファースト」につながると、私は信じています。