前半戦終了。各種ランキング(2017/6/12)とウィンブルドンシード考察 ※6/14加筆修正
お久しぶりです、ch191です。
まず、このブログを楽しみにしてくださっていた方に深くお詫び申し上げます。
言い訳になりますが、この1カ月半、仕事が忙しすぎてとても記事を掲載できるような状況ではありませんでした。
ですが、仕事も少し落ち着き、シーズン前半がちょうど終わったタイミングということと、ウィンブルドンのシード順も気になるので、6/12付の各種ランキングについて掲載させていただきます。
ではまず全仏の振り返りを簡単に。
GS 全仏
(1 マレー、2 ジョコビッチ、3 ワウリンカ、4 ナダル、5 ラオニッチ、6 チリッチ、7 ティエム、8 錦織)
W ナダル
F ワウリンカ
SF マレー、ティエム
QF ジョコビッチ、チリッチ、錦織、カレノブスタ
上位8シードのうち、ラオニッチ(4R)以外の7人がQF進出という、まれに見る波乱の無い展開の中、ナダルが前人未到のV10を果たしました。
失セット0でのGS優勝は2008年、2010年の全仏に続く3度目の快挙で史上最多に並び、失ゲーム35は1978年の全仏優勝のボルグ(32ゲーム)に次いで2番目に少ないという、まさに記録づくめの優勝でした。
クレーキングが帰ってきた、いやさらにパワーアップして手が付けられなくなったという感じです。
2005年からの4連覇、2010年からの5連覇に続き、またここから全仏連覇記録を作っていくのでしょうか。
ワウリンカはGS決勝4度目にして初黒星。
それでもQFまでの勝ち上がり、SFのマレーとの激闘は、GSでの彼の強さを再認識するには十分でした。
ウィンブルドンでは、かつてサンプラス、ヘンマン、フェデラーなどを指導したポール・アナコーンとタッグを組み、生涯グランドスラムを狙います。
マレーは復調を印象付ける戦いぶりでベスト4。
特に、QF錦織戦(後述します)でのカムバックが象徴的でした。
得意の芝シーズンに向けて、明るい兆しです。
ティエムは2年連続のベスト4。
QFでは昨年のSFで敗れ、先日のローマでも完敗していたジョコビッチに初勝利。
今年のクレーで稼いだポイントは実に2570ptでナダルに次ぐ多さ。
また、今年クレーでナダルに唯一勝っています。
ティエムが新クレーキングになる日はそう遠くないかもしれません。
錦織は2年ぶり2度目のベスト8。
比較的タフなドローを勝ち上がってシードキープ。
しかし、QFマレー戦では第1セットを取りながら、その後失速して逆転負けを喫しました。
個人的意見として、マレー側から見た勝因は、第2セット途中から思考をシンプルにしたことだと思います。
「返ってきたボールをとにかく深く返す」というただ一点に集中することで、第1セットのような錦織に押し込まれる展開が減り、ミスでポイントを落とすことが少なくなりました。
そのことが錦織に焦りを生み、リズムを狂わせた。
一方、錦織側から見た敗因はそれ(精神面)だけではなく、体力面にもあったと思います。
途中でガス欠を起こした原因として、全仏直前のジュネーブに緊急参戦したことが挙げられます。
参戦を決めた直接的な背景には、ケガでバルセロナをスキップし、マドリード、ローマで試合数をこなせなかったことがありますが、さらにさかのぼって2月の南米クレーシーズンで試合数をこなせなかったことも、遠因であると思います。
本人や陣営としては、今年から南米クレーを回るスケジュールに変更するなど、間違いなく全仏に照準を合わせていたでしょうから、ベスト8という結果に納得はしていないでしょう。
ですが、客観的に見ればシードキープできたことはポジティブにとらえてもいいと思います。
4R、ないしは3R敗退まであり得ましたし、何より手首の状態が不安視された中で、錦織らしい攻撃的なプレーが見られた。
昨年同様、今年もクレーでの戦い方に手ごたえはつかんでいるはずです。
スケジューリングも含め、来年のクレーシーズンに向けた糧としてほしいです。
それでは6/12付のエントリーランキングです。
ついに1年以上続いたマレーとジョコビッチの2強時代が終わりを迎えました。
1640ptを失ったジョコビッチが4位に転落。
これは実に7年8か月ぶりのことです。
代わって2位に浮上したのがナダル。
ナダルが2位になるのは2年8か月ぶりです。
ワウリンカは決勝で勝てばキャリアハイの2位の可能性がありましたがそれはならず。
全米優勝失効前にナダルをとらえられるかが注目です。
錦織は9位のままですが、上位との差はやや詰まっています。
ウィンブルドン前にTop8に復帰する可能性も十分あります。
GS初のQF進出を果たしたカレノブスタはキャリアハイを更新する17位に。
今後の失効も上位との差も少ないため、さらに更新する可能性も大いにあります。
30位以下ではベスト16に入った21歳のカチャノフが初の30位台となる39位に。
ハリソンはキャリアハイを1つ更新する41位となっています。
その他日本勢では杉田が今年CH3勝目を挙げ、自身初の60位台となる64位に。
バルセロナでの活躍が記憶に新しいところですが、今回優勝したサービトンCHのような芝の大会を得意としています。
全仏では初戦でジョンソンに惜敗し、持ち越しとなったGS初勝利を、ウィンブルドンでは期待したいところです。
次にレースランキングです。
ナダルが全仏優勝でファイナル当確となりました。
準優勝のワウリンカ、SFのティエムも好位置につけています。
SFのマレーは圏内の7位に浮上。
QFのジョコビッチも圏内の6位にいます。
昨年同時期と比べると、順位が大きく変動していることは間違いないのですが、Top8の顔ぶれを比べると、実は2人しか変わっていません。
入れ替わって入ってきた2人は、昨年はケガに苦しんでいたフェデラーと、若干20歳でMS優勝、Top10入りを果たしたズベレフ。
はじき出されたのはYoung Gunsの錦織とラオニッチ。
共通点は2人とも今年優勝がないことと、ケガに苦しんでいること。
序盤好調だったRDNの一角ディミトロフも失速気味で、Next Genに押されっぱなしでは終わってほしくありません。
ボーダーラインとの差はディミトロフで255pt、錦織で260pt、ラオニッチで485ptと十分射程圏内。
ここからの巻き返しに期待したいところです。
ちなみにMandatory占有率(上位8人のMandatory獲得ポイント/理論値)は76.9%(18700/24320)で、昨年同時期の83.8%、一昨年同時期の90.3%と比べて低くなっています。
Top10前後の争いが昨年以上に激しくなり、アップセットが目立ちます。
この傾向は後半戦も続いていくのでしょうか。
では、Race to Milanです。
本家レースランキングでも5位につけるズベレフが飛びぬけており、ツアーレベルで活躍するコリッチが2位。
全仏でシード勢を破って躍進したカチャノフとチュンが続きます。
ボーダーラインをめぐっては、6位エスコビドから11位アリスまでわずか73pt差の大接戦で、まだまだ激しい争いが続きそうです。。
日本勢最上位はサンティラン晶で24位(125pt)につけています。
最後にウィンブルドンシードの考察です。
ご存じの方が多いとは思いますが、ウィンブルドンでは他のGSと違って、いわゆる「芝ポイント」を考慮してシード順を決定します。
具体的には下記①~③の合計ポイントでシード順を決定します。
① ウィンブルドン開催前週のエントリーランキングポイント(今年は2016/6/26更新のランキングポイント)
② 過去12ヶ月の芝大会で獲得した全てのポイント
③ ②からさらにさかのぼって過去12ヶ月の芝大会で獲得した最高ポイントの75%
ではとりあえず上位20名の暫定状況を確認してみます。
6/26暫定point(上記①に該当)に関しては、この日までに失効するポイントはすでに除いています。
よって、表記のポイントから減ることはありません。
rank changeは、「芝ポイント」を考慮した時の6/26暫定pointからの順位変動を示しています。
では考察に入りますが、今週と来週に各選手が芝大会で獲得するポイントは、基本的には2倍加算されるとお考え下さい。
(上記①と②でダブルカウントするため。ただし、Non-Mandatoryの6大会が埋まっている選手はその限りではない)
第1シードはマレーで確定。
第2シードは暫定5位フェデラーまでの4人に可能性があります。
暫定2位ジョコビッチ(7395pt)はウィンブルドンまで芝大会の出場予定がないので、この7395ptが基準となります。
ナダル、ワウリンカ、フェデラーの成績次第では第2~第5シードまであります。
暫定3位ナダル(7318.75pt)は第2~第5シード。
ロンドン500に出場予定で、1勝すれば90ptが加算されるため、少なくともジョコビッチは上回り、第4シード以内が確定します。
暫定4位ワウリンカの理論値が7490pt、暫定5位のフェデラーの理論値が7885ptなので、ナダルは準優勝(+600pt)以上なら自力で第2シードを決められます。
※6/14修正※
ナダルのロンドン欠場が発表されました。
したがってジョコビッチを抜くことは無くなったので、第3~第5シードとなります。
ただ、ワウリンカに抜かれる可能性はほぼないので第4シード以内は確保しそうです。
暫定4位のワウリンカ(6490pt)は第2~第6シード。
ロンドン500に出場予定ですが、ナダル、ジョコビッチを上回るためには優勝(+1000pt)が絶対条件となるため、第4シード以下になることが濃厚。
1勝(+90pt)すれば暫定6位のラオニッチの理論値6575ptを上回るので、第5シード以内は確定します。
暫定5位のフェデラー(6385pt)は第2~第6シード。
シュツットガルト250とハレ500の2大会に出場予定で、万一シュツットガルトで初戦敗退に終わるとジョコビッチを上回れないことが確定し、第3シード以下になります。
ジョコビッチを上回る(第4シード以内を確定する)ためには、シュツットガルト優勝(+500pt)ならハレF(+600pt)以上、シュツットガルトQF(+90pt)以上F(+300pt)以下ならハレ優勝(+1000pt)が条件となります。
シュツットガルトでSF(+180pt)以上なら暫定でワウリンカを上回ります。
また、F(+300pt)以上ならラオニッチの理論値を上回るので第5シード以内が確定します。
フェデラーの芝での強さを考えると、第4シード以内になる確率は非常に高いと思われます。
暫定6位のラオニッチ(5575pt)は第4~第7シード。
チリッチ以外に抜かれる可能性がないため第7シード以内は確定。
そのチリッチも理論値は5885ptであるため,出場予定のロンドン500でSF(+360pt)以上なら第6シード以内が確定します。
優勝ならわずかに第4シードになる可能性もありますが、第6シードが濃厚。
暫定7位のチリッチ(4655pt)は第6~第9シード。
スヘルトーヘンボス250とロンドン500の2大会に出場予定。
暫定10位のツォンガ以下に抜かれる可能性はないため、第9シード以内は確定。
暫定9位錦織の理論値が4998.75pt、暫定8位ティエムの理論値が5037.5ptであるため、スヘルトーヘンボスで優勝(+410pt)すれば第7シード以内が確定します。
ロンドンにも出るため、少なくとも第8シード以内は確保できそうです。
暫定8位ティエム(4127.5pt)は第7~第13シード。
ハレ500に出場予定ですが、ツォンガ以下の選手に上回られるのは2大会出場の選手でも少なくとも1大会でF以上が条件のため、実質錦織との第8シード争いです。
錦織と同一ラウンド以上ならばほぼ第8シードです。
暫定9位錦織(3998.75pt)は第7~第14シード。
ハレ500に出場予定で、第8シードのためにはティエムを上回る必要があります。
最低条件は2勝、つまりQF(+180pt)以上です。
そこまで来れば第10シード以下に落ちる可能性は低くなりますが、早期敗退に終わると第10シード以下になる可能性も否定できません。
錦織、ティエムともに勝ち上がれば、SFかFで第8シードをかけた直接対決になるかもしれません。
長くなったので、ツォンガ以下は割愛します。
錦織に関する結論としては、第8シードになる可能性は50%無いと見るべきだと思います。
だからと言って、4Rが極端に厳しくなるかと言われれば、そうでもないような気もします。(結局はドロー次第?)
ただ、もし第8シードが取れるようなら、ウィンブルドンでの活躍に期待できるということは言えそうです。
今週の結果を踏まえて、また来週再試算しようと思います。
それでは。