平昌オリンピック フィギュアスケート女子シングルSPのレベルの高さを、得点の面から読み解く
男子は日本勢のワンツーという最高の結果でしたが、女子も日本勢2人が好発進を決めました。
そして、上位5人が全員PBという、男子に負けず劣らずのハイレベルな戦いとなりました。
女子も、男子同様、最終グループに残った6人の得点を、理論値との比較で検証していきたいと思います。
1位 ザギトワ 82.92(TES 45.30 PCS 37.62)(理論値87.27)
理論値の95.02%という素晴らしい完成度で、世界最高得点を更新する会心の演技でした。
基礎点が高いのはもちろん、3Fと最後のコンビネーションスピンはGOE満点の評価を得るなど、TESは女子で初めて45点を超えました。
PCSでも9点台を揃えたことで、異次元の得点に到達しました。
ただ、金メダルのためには団体戦で出したFSのPB(158.08)を超えることが必要になりそうです。
2位 メドベデワ 81.61(TES 43.19 PCS 38.42)(理論値85.40)
理論値の95.56%と全選手中最高の完成度で、団体戦SPで出したPBをさらに更新しました。
ステップはやはり満点の評価で、それ以外の要素でもGOEでほとんど+2か+3を並べました。
PCSでは4項目で9点台後半を並べ、全選手中トップの評価を得ました。
素晴らしい演技だったことは間違いありませんが、誤算はザギトワとPCSの差が0.8しかなかったことでしょうか。
ザギトワに勝つためには、FSでも自身の世界最高得点(160.46)を更新する完璧な滑りが求められそうです。
3位 オズモンド 78.87(TES 41.83 PCS 37.04)(理論値84.83)
得点は理論値の92.97%で、SP歴代3位の得点を叩きだしました。
団体戦でのミスを修正し、GOEは+2と+3がほとんどを占め、PCSでも9点台を揃えてきました。
ただ、FSでクリーンな演技が今シーズン1度もないことが大きな不安材料です。
下位との差もわずかなので、逃げ切るためにはミスは許されません。
4位 宮原知子 75.94(TES 40.25 PCS 35.69)(理論値85.14)
得点は理論値の89.19%で、初めて70点台後半を叩きだしました。
団体戦で回転不足を取られたコンビネーションもしっかりと修正し、スピン、ステップもレベル4をしっかりと揃えてきました。
PCSも2項目で9点台を出し、団体戦の時から1点あまり上げてきました。
FSでも「ミス・パーフェクト」の名にふさわしい演技ができれば、メダルは自ずと見えてくるはずです。
5位 坂本花織 73.18(TES 40.36 PCS 32.82)(理論値85.40)
得点は理論値の85.69%で、国際大会では4戦連続でのPB更新となりました。
TESは宮原を上回る4番目の高さで、全てのジャッジが全ての要素にプラス評価をつけました。
滑走順が早かったため、PCSはさほど伸びませんでしたが、それでもPBだった四大陸の時からは1点以上上げてきました。
FSのPB(142.87)はオズモンドやコストナーより上で、上積みも十分考えられることから、ノーミスの演技をすれば逆転でのメダルの可能性は十分にあります。
6位 コストナー 73.15(TES 35.06 PCS 38.09)(理論値83.93)
得点は理論値の87.16%。
最初のコンビネーションの2本目が2回転となり、単独の3Loでも手をついてしまうミスが響き、ステップでは満点の評価を得ましたが、TESは伸びませんでした。
それでもPCSは3項目で9点台後半を叩きだし、メドベデワに次ぐ2番目の評価を得たことで、この位置に踏みとどまりました。(正直この演技でPE9.54は高すぎだと思いますが)
団体戦ではFSも滑り、ミスが相次ぎましたが、ジャンプが決まって来れば2大会連続のメダルが見えてきます。
ということで、全体的に点数が高く出すぎの印象はあるものの、その中で日本勢2人はメダルを狙えるいい位置につけました。
金銀は実質、ザギトワとメドベデワの争いになるでしょうが、銅メダル争いは7位のデールマンあたりまで可能性がありそうで、きわめて熾烈な戦いになりそうです。
ここのところ、大きな国際大会での銅メダルラインは210点台での争いになっていますが、果たして220点を超えてくるのかどうか、そして優勝争いは240点台での争いになるのか、注目です。