いろいろな試算を少し本格的にやってみる。

気の向くまま、いろいろな試算をします。(ゆる~くではなくなってきたのでタイトルを変えました) 基本的にスポーツは何でも見ます。競技によっては人並み以上に知識もあります。 少しでも需要があればいいかなと思いますので、批判も含めたご意見・ご感想をお待ちしています。

16-17GPファイナル 男女シングルプレビュー(当たらない予想つき)

こんにちは、ch191です。

今回は、いよいよ今週末に開幕するGPファイナルをプレビューしてみたいと思います。

では男子シングルから。

まずはシリーズのポイント表です。

NHK杯優勝の羽生、2位のチェンがファイナルの切符をつかみ、有力だったブラウンがまさかの7位に終わったため、リッポンに6枚目の切符が与えられました。

この結果、ファイナルの顔ぶれは新旧世界王者3人(フェルナンデス、チャン、羽生)に、勢いのある若手2人(宇野、チェン)、そしてベテランのリッポンとなりました。

チェンとリッポンは予想外でしたが、それ以外の4人は順当かなという気がします。

フェルナンデスは3年連続5回目、チャンは2年連続8回目、羽生は6年連続6回目、宇野は2年連続2回目、チェンとリッポンにとっては初のファイナルとなります。

では、6人のシリーズでのスコア平均をまとめたものを以下に示します。(黄色は6人の中で各項目最高値、比較のために昨シーズンのものも)

合計平均を全体的に見ると、明らかに昨シーズンよりスコアが上がっており、また一段レベルが上がったことを感じます。

2種類以上の4回転を組み込むことが当たり前となり、1種類なら相当高い完成度が求められることが分かります。

2年連続の1位通過を果たしたフェルナンデスは、5回目の挑戦で初のファイナル優勝を狙います。

シリーズ成績を見てもSPのTES以外は全て最高値を叩き出しており、2シーズン前からシリーズでは目下5連勝中。

シリーズ初戦ではいきなりFS200点台をマークするなど、非常に充実しています。

持ち前の表現力に安定感が加わり、TESは合計で昨年より15点以上も高くなっています。

さらに強さを増した世界王者が、また新たな称号を手にすることができるのでしょうか。

2位通過のチャンは5年ぶりのファイナル優勝がかかります。

地元で行われたスケートカナダでは昨年と同じく羽生を抑えて優勝、中国杯も制してシリーズ2連勝を飾りました。

今シーズンはFSでついに4Sを組み込んで4回転3本の構成に挑んでおり、中国杯では4Sで転倒がありながらFSで196.31をマークしています。

まだ4Sの成功はありませんが、回転不足も取られていないため、成功すれば自身2度目の200点台が十分視界に入ってきます。

気になるのはSPでクリーンな演技がまだできていないこと。

やや苦手としている3AがSPでは一度も成功しておらず、3Lzが2Lzになる、SPでは致命的となるミスもあります。

昨シーズンもSPで苦しんだところがあるので、ファイナルでもSPがカギになってくるかもしれません。

3位通過の羽生はファイナル3連覇中で、シングル選手では史上初となるファイナル4連覇がかかります。

スケートカナダでは2年連続でチャンの後塵を拝しましたが、NHK杯は今シーズン唯一のトータル300点台を叩き出して圧勝しました。

今シーズンから組み込んでいる4Loはまだ完璧とはいきませんが、それ以外の要素は試合を追うごとに完成度が上がってきていますし、それでいてまだ底が見えません。

おそらく、今シーズン一番照準を合わせているのは世界選手権での王座奪還で、ファイナルも通過点でしかないと思います。

4Loに注目が集まりますが、むしろそれ以外の要素でいかに取りこぼさないかがカギだと思います。

4位通過の宇野は今シーズン飛躍的に成長し、ファイナル優勝を狙えるレベルに到達しました。

スケートアメリカで地元アメリカ勢を抑えて優勝、ロステレコム杯ではSP首位からフェルナンデスに逆転を許したもののPBで2位、いち早くファイナル進出を決めました。

新たな武器である4Fのシリーズでの着氷率は4/4でなんと100%で、しかも回転不足も取られていません。

それ以外のジャンプでも、入り方を工夫することで昨シーズンより高いGOE加点を得ることができており、TESは昨シーズンより10点以上も高くなりました。

またPCSも10点以上高くなったことで、上位3人と遜色ないレベルになりました。

SP、FSでも冒頭のジャンプは4Fなので、しっかり決めて流れを作れるかが大きなカギを握りそうです。

5位通過のチェンはシニアデビューシーズンでファイナル進出の快挙です。

2戦ともSP2位と好位置につけ、フランス杯ではFSで順位を落とし4位でしたが、NHK杯では順位を落とさず2位表彰台に上がりました。

武器はなんといっても4Lz、4Fを含む4種類の4回転ジャンプ。

3回転でもルッツとフリップはエッジの使い分けに苦しむ選手が多い中で、両方の4回転が飛べるというのは…

羽生に「僕はまだ簡単なことをやっている」と言わしめるだけあります。

TESは他の選手に全く引けを取っておらず、PCSでは差があるといっても昨シーズンの宇野ぐらいには匹敵します。

昨年の宇野に続き、シニア1年目でのファイナル表彰台の可能性も十分。

カギはNHK杯で決められなかった4Lzになりそうです。

6位通過のリッポンは27歳にして初のファイナルです。

シリーズではSPで4回転なし、FSでも4T1本のみという構成ながら、高い完成度と表現力で2戦連続3位に入りました。

特にフランス杯ではFSで全ての要素に加点がつくほぼ完ぺきな出来でPBを更新しました。

ジュニア時代には世界ジュニア連覇を果たし、シニア1年目で四大陸優勝、世界選手権6位など早くからその才能は認められていましたが、それからは苦しんだ時期がありました。

しかし、昨シーズン初めて全米選手権を制すと、世界選手権ではPBをマークして6位に入るなど、今がキャリアで一番良い状態といってもいいかもしれません。

ファイナルではシリーズと同じくミスのない演技ができれば、表彰台の可能性も見えてきます。

では順位予想をしてみたいと思います。(若干願望も入っています)

①フェルナンデス

②羽生

③宇野

④チャン

⑤リッポン

⑥チェン

そろそろフェルナンデスもGPファイナルを獲ってもいい頃ですし、今年の方が去年より現実的だと思います。

羽生には世界選手権で頑張ってほしいのであえての2位予想。

宇野は昨年と同じ3位の予想ですが、昨年より上位に肉薄すると期待して。

では女子シングルに移ります。

まずはシリーズのポイント表です。

NHK杯で表彰台に上がった3人がそのままファイナルの切符をつかみました。

その結果、ファイナルの顔ぶれはロシア勢4人(メドベデワ、ポゴリラヤ、ラジオノワ、ソツコワ)に、カナダのオズモンド、日本の宮原となりました。

ソツコワとオズモンドは予想外でしたが、それ以外の4人は順当という気がします。

それ以上に、ゴールドもワグナーもファイナルを逃したということが結構衝撃でした。

メドベデワは2年連続2回目、ポゴリラヤは2年ぶり3回目、ラジオノワは4年連続4回目、オズモンドとソツコワは初、宮原は2年連続2回目のファイナルとなります。

では、6人のシリーズでのスコア平均をまとめたものを以下に示します。(黄色は6人の中で各項目最高値、比較のために昨シーズンのものも)

男子と同じく、全体的にレベルが上がっており、なんと6人中4人が合計平均で200点台。

一番低い宮原でも190点台後半で、基礎点が飽和状態になっている以上、PCS、そして技の完成度の高さがより求められる傾向が鮮明となりました。

1位通過のメドベデワは今シーズンも好調で、他を寄せ付けない強さを見せました。

シリーズ成績ではすべての項目で最高値を叩き出しています。

まだ17歳とは思えないほどの豊かな表現力で、競技外での様子とのギャップに驚かされます。

エリック・ボンパール杯SPでは世界最高得点にあと0.14に迫るなど、トータルでも世界最高得点が見えてきました。

しいて懸念材料を挙げるとすれば2回ともアテンション(!)を取られ、転倒もあったFSの3Lzですが、もはや負けるイメージがわかないぐらい強いです。

ファイナル連覇へ、死角は見当たりません。

2位通過のポゴリラヤは2年ぶりのファイナルで自身初の表彰台、そしてその中央を見据えます。

ロシア勢の中でも、特に表現力で勝負できる選手ですが、昨シーズンまではかなりムラがあるという印象が強かったです。

しかし、今年の世界選手権で表彰台に上がったことが自信になったのか、今シーズンは地元のロステレコム杯、そして先日のNHK杯ともに210点台の高得点をマークして2連勝を飾りました。

シリーズ成績でも全項目でメドベデワに次ぐ2番目となっており、打倒メドベデワの急先鋒であることは間違いありません。

気がかりなのは苦手としている3Fが、2戦ともエッジエラー(e)を取られていることでしょうか。

アテンションとでは大きな違いなので、修正できるかどうかがカギを握りそうです。

3位通過のラジオノワは6人中最多となる4度目のファイナルで、初優勝を狙います。

ロステレコム杯ではFSでジャンプにミスが相次ぎ2位でしたが、中国杯ではミスを最小限に抑えてSP2位から逆転で優勝を飾りました。

SP、FSともノーミスの演技はできておらず、TESは昨シーズンと変わっていませんが、PCSは3点近く上がっています。

ボーカル入りの曲を好んで使うラジオノワですが、自分に合った曲選択をしていると感じます。(劇場型というかなんというか…)

ジュニア時代はシーズンを通して主要大会すべてで優勝という離れ業を成し遂げたこともある彼女ですが、シニアに上がってからはまだビッグタイトルに手が届いていません。

とにかくミスをなくすこと、それに尽きると思います。

4位通過のオズモンドは初のファイナルで表彰台を視野に入れています。

スケートカナダでは200点台の大PBで2位、中国杯でも高い得点をマークして2位に入り、カナダ勢としては2009年のロシェット以来7年ぶりのファイナル進出となりました。

長身を生かしたダイナミックなジャンプで、高い加点を得ることができる上に、フリップとルッツをしっかり飛び分けられています。

以前から総合力が高い選手だと思ってはいましたが、特にFSでの失速が目立つ印象でした。

今シーズンはSPで70点を超える高得点を出し、FSでのミスを抑えることで安定して上位に来れています。

SPはほぼ完ぺきなので、ポイントはFSです。

後半のジャンプにミスが目立つので、そこを修正できるかが大きなカギを握りそうです。

5位通過のソツコワはシニアデビューシーズンでいきなりのファイナルです。

エリック・ボンパール杯ではいきなり200点台のPBをマークして2位、NHK杯でも3位に入り、ファイナル進出を決めました。

ジュニア時代に大きな実績を持っている彼女ですが、シニアでも十分通用することを証明しました。

PCSは他選手に比べると少し劣りますが、それでも平均で1項目8点を超えており、昨シーズンの宮原と同じぐらいの水準ではあります。

シニアデビューシーズンであることを考えると、すでに高い評価を得ていると見る方が正しいでしょう。

ポイントはFSの特に後半で目立つジャンプの回転不足。

体力的な部分と関係していそうですが、それを克服することができれば、弱冠16歳でのファイナル表彰台が見えてきます。

6位通過の宮原は2年連続でのファイナル表彰台を狙います。

スケートカナダではジャンプの回転不足やステップが要素として認められないなどで3位でしたが、NHK杯では何とかまとめて2位に入りました。

「ミス・パーフェクト」の宮原には珍しく、ミスが相次いだシリーズとなりましたが、スコア平均は昨シーズンとほとんど変わっていません。

それはPCSが5点近くも上がったからに他なりません。

そして、ミスがなければさらに上がることは間違いありません。

ポイントはなんといってもジャンプの回転不足を取られないようにすること。

ものすごく頭の良い選手なので、修正ポイントは本人の中で分かっているはずですし、修正できることはすでに昨シーズン証明しています。

それができた時、おのずと表彰台が見えてくるはずです。

では順位予想です。

①メドベデワ

②ポゴリラヤ

③宮原

④ラジオノワ

⑤オズモンド

⑥ソツコワ

メドベデワ、ポゴリラヤは今シーズンの調子からいって堅い気がします。

そして、ロシア勢の表彰台独占に待ったをかけるのが宮原だと思います。

ここ2シーズンの大舞台での彼女の強さは際立っており、やってくれると信じて。

では最後に、ジュニア女子にも少し触れておきましょう。

昨年と同じく、ロシア勢3人(グバノワ、ザギトワ、ヌグマノワ)、日本勢3人(紀平、坂本、本田)という構図となりました。

昨年優勝のツルスカヤが欠場となり、より優勝争い、表彰台争いとも激しくなりそうです。

ここ6年はロシア勢が優勝していますが、今年の日本勢は史上最強といっても過言ではない関西3人娘。

村上佳菜子以来、7年ぶりとなる優勝も現実味を帯びていますし、正直3人のだれが優勝してもおかしくありません。

個人的には坂本に獲ってほしい(本田はすでに世界ジュニアを獲っている、紀平はまだ若いので今後があるので)のですが、果たして…

ということで、興味が尽きない今年のGPファイナル

選ばれし6人だけが立てる最高峰のフィールドで、最高レベルの戦いが繰り広げられることを期待したいと思います。